2012/11/03

ブンチョウ

 ブンチョウ

 ナツメ ソウセキ

 10 ガツ ワセダ に うつる。 ガラン の よう な ショサイ に ただ ヒトリ、 かたづけた カオ を ホオヅエ で ささえて いる と、 ミエキチ が きて、 トリ を おかいなさい と いう。 かって も いい と こたえた。 しかし ネン の ため だ から、 ナニ を かう の かね と きいたら、 ブンチョウ です と いう ヘンジ で あった。
 ブンチョウ は ミエキチ の ショウセツ に でて くる くらい だ から きれい な トリ に ちがいなかろう と おもって、 じゃ かって くれたまえ と たのんだ。 ところが ミエキチ は ぜひ おかいなさい と、 おなじ よう な こと を くりかえして いる。 うむ かう よ かう よ と やはり ホオヅエ を ついた まま で、 むにゃむにゃ いってる うち に ミエキチ は だまって しまった。 おおかた ホオヅエ に アイソウ を つかした ん だろう と、 この とき はじめて キ が ついた。
 すると 3 プン ばかり して、 コンド は カゴ を おかいなさい と いいだした。 これ も よろしい と こたえる と、 ぜひ おかいなさい と ネン を おす カワリ に、 トリカゴ の コウシャク を はじめた。 その コウシャク は だいぶ こみいった もの で あった が、 キノドク な こと に、 みんな わすれて しまった。 ただ いい の は 20 エン ぐらい する と いう ダン に なって、 キュウ に そんな たかい の で なくって も よかろう と いって おいた。 ミエキチ は にやにや して いる。
 それから ぜんたい どこ で かう の か と きいて みる と、 なに どこ の トリヤ に でも あります と、 じつに ヘイボン な コタエ を した。 カゴ は と ききかえす と、 カゴ です か、 カゴ は その ナン です よ、 なに どこ に か ある でしょう、 と まるで クモ を つかむ よう な カンダイ な こと を いう。 でも キミ アテ が なくっちゃ いけなかろう と、 あたかも いけない よう な カオ を して みせたら、 ミエキチ は ホッペタ へ テ を あてて、 なんでも コマゴメ に カゴ の メイジン が ある そう です が、 トシヨリ だ そう です から、 もう しんだ かも しれません と、 ヒジョウ に こころぼそく なって しまった。
 なにしろ いいだした モノ に セキニン を おわせる の は トウゼン の こと だ から、 さっそく バンジ を ミエキチ に イライ する こと に した。 すると、 すぐ カネ を だせ と いう。 カネ は たしか に だした。 ミエキチ は どこ で かった か、 ナナコ の ミツオレ の カミイレ を カイチュウ して いて、 ヒト の カネ でも ジブン の カネ でも しっかい この カミイレ の ナカ に いれる クセ が ある。 ジブン は ミエキチ が 5 エン サツ を たしか に この カミイレ の ソコ へ おしこんだ の を モクゲキ した。
 かよう に して カネ は たしか に ミエキチ の テ に おちた。 しかし トリ と カゴ とは ヨウイ に やって こない。
 そのうち アキ が コハル に なった。 ミエキチ は たびたび くる。 よく オンナ の ハナシ など を して かえって ゆく。 ブンチョウ と カゴ の コウシャク は まったく でない。 ガラスド を すかして 5 シャク の エンガワ には ヒ が よく あたる。 どうせ ブンチョウ を かう なら、 こんな あたたかい キセツ に、 この エンガワ へ トリカゴ を すえて やったら、 ブンチョウ も さだめし なきよかろう と おもう くらい で あった。
 ミエキチ の ショウセツ に よる と、 ブンチョウ は ちよちよ と なく そう で ある。 その ナキゴエ が だいぶん キ に いった と みえて、 ミエキチ は ちよちよ を ナンド と なく つかって いる。 あるいは チヨ と いう オンナ に ほれて いた こと が ある の かも しれない。 しかし トウニン は いっこう そんな こと を いわない。 ジブン も きいて みない。 ただ エンガワ に ヒ が よく あたる。 そうして ブンチョウ が なかない。
 そのうち シモ が ふりだした。 ジブン は マイニチ ガラン の よう な ショサイ に、 さむい カオ を かたづけて みたり、 とりみだして みたり、 ホオヅエ を ついたり やめたり して くらして いた。 ト は ニジュウ に しめきった。 ヒバチ に スミ ばかり ついで いる。 ブンチョウ は ついに わすれた。
 ところへ ミエキチ が カドグチ から イセイ よく はいって きた。 トキ は ヨイ の クチ で あった。 さむい から ヒバチ の ウエ へ ムネ から ウエ を かざして、 うかぬ カオ を わざと ほてらして いた の が、 キュウ に ヨウキ に なった。 ミエキチ は ホウリュウ を したがえて いる。 ホウリュウ は いい メイワク で ある。 フタリ が カゴ を ヒトツ ずつ もって いる。 その うえ に ミエキチ が おおきな ハコ を アニキブン に かかえて いる。 5 エン サツ が ブンチョウ と カゴ と ハコ に なった の は この ハツフユ の バン で あった。
 ミエキチ は ダイトクイ で ある。 まあ ごらんなさい と いう。 ホウリュウ その ランプ を もっと こっち へ だせ など と いう。 そのくせ さむい ので ハナ の アタマ が すこし ムラサキイロ に なって いる。
 なるほど リッパ な カゴ が できた。 ダイ が ウルシ で ぬって ある。 タケ は ほそく けずった うえ に、 イロ が つけて ある。 それ で 3 エン だ と いう。 やすい なあ ホウリュウ と いって いる。 ホウリュウ は うん やすい と いって いる。 ジブン は やすい か たかい か はんぜん と わからない が、 まあ やすい なあ と いって いる。 いい の に なる と 20 エン も する そう です と いう。 20 エン は これ で 2 ヘン-メ で ある。 20 エン に くらべて やすい の は むろん で ある。
 この ウルシ は ね、 センセイ、 ヒナタ へ だして さらして おく うち に クロミ が とれて だんだん シュ の イロ が でて きます から、 ――そうして この タケ は イッペン よく にた ん だ から だいじょうぶ です よ など と、 しきり に セツメイ を して くれる。 ナニ が だいじょうぶ なの かね と ききかえす と、 まあ トリ を ごらんなさい、 きれい でしょう と いって いる。
 なるほど きれい だ。 ツギノマ へ カゴ を すえて 4 シャク ばかり こっち から みる と すこしも うごかない。 うすぐらい ナカ に マッシロ に みえる。 カゴ の ナカ に うずくまって いなければ トリ とは おもえない ほど しろい。 なんだか さむそう だ。
 さむい だろう ね と きいて みる と、 その ため に ハコ を つくった ん だ と いう。 ヨル に なれば この ハコ に いれて やる ん だ と いう。 カゴ が フタツ ある の は どう する ん だ と きく と、 この ソマツ な ほう へ いれて ときどき ギョウズイ を つかわせる の だ と いう。 これ は すこし テスウ が かかる な と おもって いる と、 それから フン を して カゴ を よごします から、 ときどき ソウジ を して おやりなさい と つけくわえた。 ミエキチ は ブンチョウ の ため には なかなか キョウコウ で ある。
 それ を はいはい ひきうける と、 コンド は ミエキチ が タモト から アワ を ヒトフクロ だした。 これ を マイニチ くわせなくっちゃ いけません。 もし エ を かえて やらなければ、 エツボ を だして カラ だけ ふいて おやんなさい。 そう しない と ブンチョウ が ミ の ある アワ を いちいち ひろいださなくっちゃ なりません から。 ミズ も マイアサ かえて おやんなさい。 センセイ は ネボウ だ から ちょうど いい でしょう と たいへん ブンチョウ に シンセツ を きわめて いる。 そこで ジブン も よろしい と バンジ うけあった。 ところへ ホウリュウ が タモト から エツボ と ミズイレ を だして ギョウギ よく ジブン の マエ に ならべた。 こう イッサイ バンジ を ととのえて おいて、 ジッコウ を せまられる と、 ギリ にも ブンチョウ の セワ を しなければ ならなく なる。ナイシン では よほど おぼつかなかった が、 まず やって みよう と まで は ケッシン した。 もし できなければ ウチ の モノ が、 どうか する だろう と おもった。
 やがて ミエキチ は トリカゴ を テイネイ に ハコ の ナカ へ いれて、 エンガワ へ もちだして、 ここ へ おきます から と いって かえった。 ジブン は ガラン の よう な ショサイ の マンナカ に トコ を のべて ひややか に ねた。 ゆめに ブンチョウ を しょいこんだ ココロモチ は、 すこし さむかった が ねぶって みれば フダン の ヨル の ごとく おだやか で ある。
 ヨクアサ メ が さめる と ガラスド に ヒ が さして いる。 たちまち ブンチョウ に エ を やらなければ ならない な と おもった。 けれども おきる の が タイギ で あった。 いまに やろう、 いまに やろう と かんがえて いる うち に、 とうとう 8 ジ-スギ に なった。 シカタ が ない から カオ を あらう ツイデ を もって、 つめたい エン を スアシ で ふみながら、 ハコ の フタ を とって トリカゴ を アカルミ へ だした。 ブンチョウ は メ を ぱちつかせて いる。 もっと はやく おきたかったろう と おもったら キノドク に なった。
 ブンチョウ の メ は マックロ で ある。 マブタ の マワリ に ほそい トキイロ の キヌイト を ぬいつけた よう な スジ が はいって いる。 メ を ぱちつかせる たび に キヌイト が キュウ に よって 1 ポン に なる。 と おもう と また まるく なる。 カゴ を ハコ から だす や いなや、 ブンチョウ は しろい クビ を ちょっと かたぶけながら この くろい メ を うつして はじめて ジブン の カオ を みた。 そうして ちち と ないた。
 ジブン は しずか に トリカゴ を ハコ の ウエ に すえた。 ブンチョウ は ぱっと トマリギ を はなれた。 そうして また トマリギ に のった。 トマリギ は 2 ホン ある。 くろみがかった アオジク を ほどよき キョリ に ハシ と わたして ヨコ に ならべた。 その 1 ポン を かるく ふまえた アシ を みる と いかにも きゃしゃ に できて いる。 ほそながい ウスクレナイ の ハシ に シンジュ を けずった よう な ツメ が ついて、 テゴロ な トマリギ を うまく かかえこんで いる。 すると、 ひらり と メサキ が うごいた。 ブンチョウ は すでに トマリギ の ウエ で ムキ を かえて いた。 しきり に クビ を サユウ に かたぶける。 かたぶけかけた クビ を ふと もちなおして、 こころもち マエ へ のした か と おもったら、 しろい ハネ が また ちらり と うごいた。 ブンチョウ の アシ は ムコウ の トマリギ の マンナカ アタリ に グアイ よく おちた。 ちち と なく。 そうして トオク から ジブン の カオ を のぞきこんだ。
 ジブン は カオ を あらい に フロバ へ いった。 カエリ に ダイドコロ へ まわって、 トダナ を あけて、 ユウベ ミエキチ の かって きて くれた アワ の フクロ を だして、 エツボ の ナカ へ エ を いれて、 もう ヒトツ には ミズ を 1 パイ いれて、 また ショサイ の エンガワ へ でた。
 ミエキチ は ヨウイ シュウトウ な オトコ で、 ユウベ テイネイ に エ を やる とき の ココロエ を セツメイ して いった。 その セツ に よる と、 むやみ に カゴ の ト を あける と ブンチョウ が にけだして しまう。 だから ミギ の テ で カゴ の ト を あけながら、 ヒダリ の テ を その シタ へ あてがって、 ソト から デグチ を ふさぐ よう に しなくって は キケン だ。 エツボ を だす とき も おなじ ココロエ で やらなければ ならない。 と その テツキ まで して みせた が、 こう リョウホウ の テ を つかって、 エツボ を どうして カゴ の ナカ へ いれる こと が できる の か、 つい きいて おかなかった。
 ジブン は やむ を えず エツボ を もった まま テノコウ で カゴ の ト を そろり と ウエ へ おしあげた。 ドウジ に ヒダリ の テ で あいた クチ を すぐ ふさいだ。 トリ は ちょっと ふりかえった。 そうして、 ちち と ないた。 ジブン は デグチ を ふさいだ ヒダリ の テ の ショチ に きゅうした。 ヒト の スキ を うかがって にげる よう な トリ とも みえない ので、 なんとなく キノドク に なった。 ミエキチ は わるい こと を おしえた。
 おおきな テ を そろそろ カゴ の ナカ へ いれた。 すると ブンチョウ は キュウ に ハバタキ を はじめた。 ほそく けずった タケ の メ から あたたかい ムクゲ が、 しろく とぶ ほど に ツバサ を ならした。 ジブン は キュウ に ジブン の おおきな テ が いや に なった。 アワ の ツボ と ミズ の ツボ を トマリギ の アイダ に ようやく おく や いなや、 テ を ひきこました。 カゴ の ト は はたり と ひとりでに おちた。 ブンチョウ は トマリギ の ウエ に もどった。 しろい クビ を なかば ヨコ に むけて、 カゴ の ソト に いる ジブン を みあげた。 それから まげた クビ を マッスグ に して アシ の モト に ある アワ と ミズ を ながめた。 ジブン は ショクジ を し に チャノマ へ いった。
 その コロ は ニッカ と して ショウセツ を かいて いる ジブン で あった。 メシ と メシ の アイダ は たいてい ツクエ に むかって フデ を にぎって いた。 しずか な とき は ジブン で カミ の ウエ を はしる ペン の オト を きく こと が できた。 ガラン の よう な ショサイ へは ダレ も はいって こない シュウカン で あった。 フデ の オト に サビシサ と いう イミ を かんじた アサ も ヒル も バン も あった。 しかし ときどき は この フデ の オト が ぴたり と やむ、 また やめねば ならぬ、 オリ も だいぶ あった。 その とき は ユビ の マタ に フデ を はさんだ まま テノヒラ へ アゴ を のせて ガラスゴシ に ふきあれた ニワ を ながめる の が クセ で あった。 それ が すむ と のせた アゴ を いちおう つまんで みる。 それでも フデ と カミ が イッショ に ならない とき は、 つまんだ アゴ を 2 ホン の ユビ で のして みる。 すると エンガワ で ブンチョウ が たちまち ちよちよ と フタコエ ないた。
 フデ を おいて、 そっと でて みる と、 ブンチョウ は ジブン の ほう を むいた まま、 トマリギ の ウエ から、 のめりそう に しろい ムネ を つきだして、 たかく ちよ と いった。 ミエキチ が きいたら さぞ よろこぶ だろう と おもう ほど な いい コエ で ちよ と いった。 ミエキチ は いまに なれる と ちよ と なきます よ、 きっと なきます よ、 と うけあって かえって いった。
 ジブン は また カゴ の ソバ へ しゃがんだ。 ブンチョウ は ふくらんだ クビ を 2~3 ド タテヨコ に むけなおした。 やがて ヒトカタマリ の しろい カラダ が ぽいと トマリギ の ウエ を ぬけだした。 と おもう と きれい な アシ の ツメ が ハンブン ほど エツボ の フチ から ウシロ へ でた。 コユビ を かけて も すぐ ひっくりかえりそう な エツボ は ツリガネ の よう に しずか で ある。 さすが に ブンチョウ は かるい もの だ。 なんだか アワユキ の セイ の よう な キ が した。
 ブンチョウ は つと クチバシ を エツボ の マンナカ に おとした。 そうして 2~3 ド サユウ に ふった。 きれい に ならして いれて あった アワ が はらはら と カゴ の ソコ に こぼれた。 ブンチョウ は クチバシ を あげた。 ノド の ところ で かすか な オト が する。 また クチバシ を アワ の マンナカ に おとす。 また かすか な オト が する。 その オト が おもしろい。 しずか に きいて いる と、 まるくて こまやか で、 しかも ヒジョウ に すみやか で ある。 スミレ ほど な ちいさい ヒト が、 コガネ の ツチ で メノウ の ゴイシ でも ツヅケザマ に たたいて いる よう な キ が する。
 クチバシ の イロ を みる と ムラサキ を うすく まぜた ベニ の よう で ある。 その ベニ が しだいに ながれて、 アワ を つつく クチサキ の アタリ は しろい。 ゾウゲ を ハントウメイ に した シロサ で ある。 この クチバシ が アワ の ナカ へ はいる とき は ヒジョウ に はやい。 サユウ に ふりまく アワ の タマ も ヒジョウ に かるそう だ。 ブンチョウ は ミ を サカサマ に しない ばかり に とがった クチバシ を きいろい ツブ の ナカ に さしこんで は、 ふくらんだ クビ を オシゲ も なく ミギヒダリ へ ふる。 カゴ の ソコ に とびちる アワ の カズ は イクツブ だ か わからない。 それでも エツボ だけ は せきぜん と して しずか で ある。 おもい もの で ある。 エツボ の チョッケイ は 1 スン 5 ブ ほど だ と おもう。
 ジブン は そっと ショサイ へ かえって さびしく ペン を カミ の ウエ に はしらして いた。 エンガワ では ブンチョウ が ちち と なく。 おりおり は ちよちよ とも なく。 ソト では コガラシ が ふいて いた。
 ユウガタ には ブンチョウ が ミズ を のむ ところ を みた。 ほそい アシ を ツボ の フチ へ かけて、 ちいさい クチバシ に うけた ヒトシズク を ダイジ そう に、 あおむいて のみくだして いる。 この ブン では 1 パイ の ミズ が トオカ ぐらい つづく だろう と おもって また ショサイ へ かえった。 バン には ハコ へ しまって やった。 ねる とき ガラスド から ソト を のぞいたら、 ツキ が でて、 シモ が ふって いた。 ブンチョウ は ハコ の ナカ で ことり とも しなかった。
 あくる ヒ も また キノドク な こと に おそく おきて、 ハコ から カゴ を だして やった の は、 やっぱり 8 ジ-スギ で あった。 ハコ の ナカ では とうから メ が さめて いた ん だろう。 それでも ブンチョウ は いっこう フヘイ-らしい カオ も しなかった。 カゴ が あかるい ところ へ でる や いなや、 いきなり メ を しばたたいて、 こころもち クビ を すくめて、 ジブン の カオ を みた。
 ムカシ うつくしい オンナ を しって いた。 この オンナ が ツクエ に もたれて ナニ か かんがえて いる ところ を、 ウシロ から、 そっと いって、 ムラサキ の オビアゲ の フサ に なった サキ を、 ながく たらして、 クビスジ の ほそい アタリ を、 ウエ から なでまわしたら、 オンナ は ものうげ に ウシロ を むいた。 その とき オンナ の マユ は こころもち ハチ の ジ に よって いた。 それ で メジリ と クチモト には ワライ が きざして いた。 ドウジ に カッコウ の よい クビ を カタ まで すくめて いた。 ブンチョウ が ジブン を みた とき、 ジブン は ふと この オンナ の こと を おもいだした。 この オンナ は イマ ヨメ に いった。 ジブン が ムラサキ の オビアゲ で イタズラ を した の は エンダン の きまった 2~3 ニチ アト で ある。
 エツボ には まだ アワ が 8 ブ-ドオリ はいって いる。 しかし カラ も だいぶ まじって いた。 ミズイレ には アワ の カラ が イチメン に ういて、 いたく にごって いた。 かえて やらなければ ならない。 また おおきな テ を カゴ の ナカ へ いれた。 ヒジョウ に ヨウジン して いれた にも かかわらず、 ブンチョウ は しろい ツバサ を みだして さわいだ。 ちいさい ハネ が 1 ポン ぬけて も、 ジブン は ブンチョウ に すまない と おもった。 カラ は きれい に ふいた。 ふかれた カラ は コガラシ が どこ か へ もって いった。 ミズ も かえて やった。 スイドウ の ミズ だ から たいへん つめたい。
 その ヒ は イチニチ さびしい ペン の オト を きいて くらした。 その アイダ には おりおり ちよちよ と いう コエ も きこえた。 ブンチョウ も さびしい から なく の では なかろう か と かんがえた。 しかし エンガワ へ でて みる と、 2 ホン の トマリギ の アイダ を、 あちら へ とんだり、 こちら へ とんだり、 たえまなく ゆきつ もどりつ して いる。 すこしも フヘイ-らしい ヨウス は なかった。
 ヨル は ハコ へ いれた。 あくる アサ メ が さめる と、 ソト は しろい シモ だ。 ブンチョウ も メ が さめて いる だろう が、 なかなか おきる キ に ならない。 マクラモト に ある シンブン を テ に とる さえ ナンギ だ。 それでも タバコ は 1 ポン ふかした。 この 1 ポン を ふかして しまったら、 おきて カゴ から だして やろう と おもいながら、 クチ から でる ケブリ の ユクエ を みつめて いた。 すると この ケブリ の ナカ に、 クビ を すくめた、 メ を ほそく した、 しかも こころもち マユ を よせた ムカシ の オンナ の カオ が ちょっと みえた。 ジブン は トコ の ウエ に おきなおった。 ネマキ の ウエ へ ハオリ を ひっかけて、 すぐ エンガワ へ でた。 そうして ハコ の フタ を はずして、 ブンチョウ を だした。 ブンチョウ は ハコ から でながら、 ちよちよ と フタコエ ないた。
 ミエキチ の セツ に よる と、 なれる に したがって、 ブンチョウ が ヒト の カオ を みて なく よう に なる ん だ そう だ。 げんに ミエキチ の かって いた ブンチョウ は、 ミエキチ が ソバ に い さえ すれば、 しきり に ちよちよ と なきつづけた そう だ。 のみならず ミエキチ の ユビ の サキ から エ を たべる と いう。 ジブン も いつか ユビ の サキ で エ を やって みたい と おもった。
 ツギ の アサ は また なまけた。 ムカシ の オンナ の カオ も つい おもいださなかった。 カオ を あらって、 ショクジ を すまして、 はじめて、 キ が ついた よう に エンガワ へ でて みる と、 いつのまにか カゴ が ハコ の ウエ に のって いる。 ブンチョウ は もう トマリギ の ウエ を おもしろそう に あちら、 こちら と とびうつって いる。 そうして ときどき は クビ を のして カゴ の ソト を シタ の ほう から のぞいて いる。 その ヨウス が なかなか ムジャキ で ある。 ムカシ ムラサキ の オビアゲ で イタズラ を した オンナ は エリ の ながい、 セイ の すらり と した、 ちょっと クビ を まげて ヒト を みる クセ が あった。
 アワ は まだ ある。 ミズ も まだ ある。 ブンチョウ は マンゾク して いる。 ジブン は アワ も ミズ も かえず に ショサイ へ ひっこんだ。
 ヒルスギ また エンガワ へ でた。 ショクゴ の ウンドウ-かたがた、 5~6 ケン の マワリエン を、 あるきながら ショケン する つもり で あった。 ところが でて みる と アワ が もう 7 ブ-ガタ つきて いる。 ミズ も まったく にごって しまった。 ショモツ を エンガワ へ ほうりだして おいて、 いそいで エ と ミズ を かえて やった。
 ツギ の ヒ も また おそく おきた。 しかも カオ を あらって メシ を くう まで は エンガワ を のぞかなかった。 ショサイ に かえって から、 あるいは キノウ の よう に、 ウチ の モノ が カゴ を だして おき は せぬ か と、 ちょっと エン へ カオ だけ だして みたら、 はたして だして あった。 そのうえ エ も ミズ も あたらしく なって いた。 ジブン は やっと アンシン して クビ を ショサイ に いれた。 トタン に ブンチョウ は ちよちよ と ないた。 それで ひっこめた クビ を また だして みた。 けれども ブンチョウ は ふたたび なかなかった。 ケゲン な カオ を して ガラスゴシ に ニワ の シモ を ながめて いた。 ジブン は とうとう ツクエ の マエ に かえった。
 ショサイ の ナカ では あいかわらず ペン の オト が さらさら する。 かきかけた ショウセツ は だいぶん はかどった。 ユビ の サキ が つめたい。 ケサ いけた サクラズミ は しろく なって、 サツマ ゴトク に かけた テツビン が ほとんど さめて いる。 スミトリ は カラ だ。 テ を たたいた が ちょっと ダイドコロ まで きこえない。 たって ト を あける と、 ブンチョウ は レイ に にず トマリギ の ウエ に じっと とまって いる。 よく みる と アシ が 1 ポン しか ない。 ジブン は スミトリ を エン に おいて、 ウエ から こごんで カゴ の ナカ を のぞきこんだ。 いくら みて も アシ は 1 ポン しか ない。 ブンチョウ は この きゃしゃ な 1 ポン の ほそい アシ に ソウミ を たくして もくねん と して、 カゴ の ナカ に かたづいて いる。
 ジブン は フシギ に おもった。 ブンチョウ に ついて バンジ を セツメイ した ミエキチ も この こと だけ は ぬいた と みえる。 ジブン が スミトリ に スミ を いれて かえった とき、 ブンチョウ の アシ は まだ 1 ポン で あった。 しばらく さむい エンガワ に たって ながめて いた が、 ブンチョウ は うごく ケシキ も ない。 オト を たてない で みつめて いる と、 ブンチョウ は まるい メ を しだいに ほそく しだした。 おおかた ねむたい の だろう と おもって、 そっと ショサイ へ はいろう と して、 イッポ アシ を うごかす や いなや、 ブンチョウ は また メ を あいた。 ドウジ に マッシロ な ムネ の ナカ から ほそい アシ を 1 ポン だした。 ジブン は ト を たてて ヒバチ へ スミ を ついだ。
 ショウセツ は しだいに いそがしく なる。 アサ は いぜん と して ネボウ を する。 イチド ウチ の モノ が ブンチョウ の セワ を して くれて から、 なんだか ジブン の セキニン が かるく なった よう な ココロモチ が する。 ウチ の モノ が わすれる とき は、 ジブン が エ を やる ミズ を やる。 カゴ の ダシイレ を する。 しない とき は、 ウチ の モノ を よんで させる こと も ある。 ジブン は ただ ブンチョウ の コエ を きく だけ が ヤクメ の よう に なった。
 それでも エンガワ へ でる とき は、 かならず カゴ の マエ へ たちどまって ブンチョウ の ヨウス を みた。 タイテイ は せまい カゴ を ク にも しない で、 2 ホン の トマリギ を マンゾク そう に オウフク して いた。 テンキ の いい とき は うすい ヒ を ガラスゴシ に あびて、 しきり に なきたてて いた。 しかし ミエキチ の いった よう に、 ジブン の カオ を みて ことさら に なく ケシキ は さらに なかった。
 ジブン の ユビ から じかに エ を くう など と いう こと は むろん なかった。 おりおり キゲン の いい とき は パン の コ など を ヒトサシユビ の サキ へ つけて タケ の アイダ から ちょっと だして みる こと が ある が ブンチョウ は けっして ちかづかない。 すこし ブエンリョ に つきこんで みる と、 ブンチョウ は ユビ の ふとい の に おどろいて しろい ツバサ を みだして カゴ の ナカ を さわぎまわる のみ で あった。 2~3 ド こころみた ノチ、 ジブン は キノドク に なって、 この ゲイ だけ は エイキュウ に ダンネン して しまった。 イマ の ヨ に こんな こと の できる モノ が いる か どう だ か はなはだ うたがわしい。 おそらく コダイ の セイント の シゴト だろう。 ミエキチ は ウソ を ついた に ちがいない。
 ある ヒ の こと、 ショサイ で レイ の ごとく ペン の オト を たてて わびしい こと を かきつらねて いる と、 ふと ミョウ な オト が ミミ に はいった。 エンガワ で さらさら、 さらさら いう。 オンナ が ながい キヌ の スソ を さばいて いる よう にも うけとられる が、 タダ の オンナ の それ と して は、 あまり に ぎょうさん で ある。 ヒナダン を あるく、 ダイリビナ の ハカマ の ヒダ の すれる オト と でも ケイヨウ したら よかろう と おもった。 ジブン は かきかけた ショウセツ を ヨソ に して、 ペン を もった まま エンガワ へ でて みた。 すると ブンチョウ が ギョウズイ を つかって いた。
 ミズ は ちょうど カエタテ で あった。 ブンチョウ は かるい アシ を ミズイレ の マンナカ に ムナゲ まで ひたして、 ときどき は しろい ツバサ を サユウ に ひろげながら、 こころもち ミズイレ の ナカ に しゃがむ よう に ハラ を おしつけつつ、 ソウミ の ケ を イチド に ふって いる。 そうして ミズイレ の フチ に ひょいと とびあがる。 しばらく して また とびこむ。 ミズイレ の チョッケイ は 1 スン 5 ブ ぐらい に すぎない。 とびこんだ とき は オ も あまり、 アタマ も あまり、 セ は むろん あまる。 ミズ に つかる の は アシ と ムネ だけ で ある。 それでも ブンチョウ は きんぜん と して ギョウズイ を つかって いる。
 ジブン は キュウ に カエカゴ を とって きた。 そうして ブンチョウ を この ほう へ うつした。 それから ジョロ を もって フロバ へ いって、 スイドウ の ミズ を くんで、 カゴ の ウエ から さあさあ と かけて やった。 ジョロ の ミズ が つきる コロ には しろい ハネ から おちる ミズ が タマ に なって ころがった。 ブンチョウ は たえず メ を ぱちぱち させて いた。
 ムカシ ムラサキ の オビアゲ で イタズラ を した オンナ が、 ザシキ で シゴト を して いた とき、 ウラニカイ から フトコロカガミ で オンナ の カオ へ ハル の コウセン を ハンシャ させて たのしんだ こと が ある。 オンナ は うすあかく なった ホオ を あげて、 ほそい テ を ヒタイ の マエ に かざしながら、 フシギ そう に マバタキ を した。 この オンナ と この ブンチョウ とは おそらく おなじ ココロモチ だろう。
 ヒカズ が たつ に したがって ブンチョウ は よく さえずる。 しかし よく わすれられる。 ある とき は エツボ が アワ の カラ だけ に なって いた こと が ある。 ある とき は カゴ の ソコ が フン で いっぱい に なって いた こと が ある。 ある バン エンカイ が あって おそく かえったら、 フユ の ツキ が ガラスゴシ に さしこんで、 ひろい エンガワ が ほのあかるく みえる ナカ に、 トリカゴ が しんと して、 ハコ の ウエ に のって いた。 その スミ に ブンチョウ の カラダ が うすしろく ういた まま トマリギ の ウエ に、 ある か なき か に おもわれた。 ジブン は ガイトウ の ハネ を かえして、 すぐ トリカゴ を ハコ の ナカ へ いれて やった。
 ヨクジツ ブンチョウ は レイ の ごとく ゲンキ よく さえずって いた。 それから は ときどき さむい ヨル も ハコ に しまって やる の を わすれる こと が あった。 ある バン イツモ の とおり ショサイ で センネン に ペン の オト を きいて いる と、 とつぜん エンガワ の ほう で がたり と モノ の くつがえった オト が した。 しかし ジブン は たたなかった。 いぜん と して いそぐ ショウセツ を かいて いた。 わざわざ たって いって、 なんでも ない と いまいましい から、 キ に かからない では なかった が、 やはり ちょっと キキミミ を たてた まま しらぬ カオ で すまして いた。 その バン ねた の は 12 ジ-スギ で あった。 ベンジョ に いった ツイデ、 キガカリ だ から、 ネン の ため いちおう エンガワ へ まわって みる と――
 カゴ は ハコ の ウエ から おちて いる。 そうして ヨコ に たおれて いる。 ミズイレ も エツボ も ひっくりかえって いる。 アワ は イチメン に エンガワ に ちらばって いる。 トマリギ は ぬけだして いる。 ブンチョウ は しのびやか に トリカゴ の サン に かじりついて いた。 ジブン は アシタ から ちかって この エンガワ に ネコ を いれまい と ケッシン した。
 あくる ヒ ブンチョウ は なかなかった。 アワ を ヤマモリ いれて やった。 ミズ を みなぎる ほど いれて やった。 ブンチョウ は イッポンアシ の まま ながらく トマリギ の ウエ を うごかなかった。 ヒルメシ を くって から、 ミエキチ に テガミ を かこう と おもって、 2~3 ギョウ かきだす と、 ブンチョウ が ちち と ないた。 ジブン は テガミ の フデ を とめた。 ブンチョウ が また ちち と ないた。 でて みたら アワ も ミズ も だいぶん へって いる。 テガミ は それぎり に して さいて すてた。
 ヨクジツ ブンチョウ が また なかなく なった。 トマリギ を おりて カゴ の ソコ へ ハラ を おしつけて いた。 ムネ の ところ が すこし ふくらんで、 ちいさい ケ が サザナミ の よう に みだれて みえた。 ジブン は この アサ、 ミエキチ から レイ の ケン で ボウショ まで きて くれ と いう テガミ を うけとった。 10 ジ まで に と いう イライ で ある から、 ブンチョウ を ソノママ に して おいて でた。 ミエキチ に あって みる と レイ の ケン が いろいろ ながく なって、 イッショ に ヒルメシ を くう。 イッショ に バンメシ を くう。 そのうえ アス の カイゴウ まで ヤクソク して ウチ へ かえった。 かえった の は ヨル の 9 ジ-ゴロ で ある。 ブンチョウ の こと は すっかり わすれて いた。 つかれた から、 すぐ トコ へ はいって ねて しまった。
 あくる ヒ メ が さめる や いなや、 すぐ レイ の ケン を おもいだした。 いくら トウニン が ショウチ だって、 そんな ところ へ ヨメ に やる の は ユクスエ よく あるまい、 まだ コドモ だ から どこ へ でも ゆけ と いわれる ところ へ ゆく キ に なる ん だろう。 いったん ゆけば むやみ に でられる もの じゃ ない。 ヨノナカ には マンゾク しながら フコウ に おちいって ゆく モノ が たくさん ある。 など と かんがえて ヨウジ を つかって、 アサメシ を すまして また レイ の ケン を カタヅケ に でかけて いった。
 かえった の は ゴゴ 3 ジ-ゴロ で ある。 ゲンカン へ ガイトウ を かけて ロウカヅタイ に ショサイ へ はいる つもり で レイ の エンガワ へ でて みる と、 トリカゴ が ハコ の ウエ に だして あった。 けれども ブンチョウ は カゴ の ソコ に そっくりかえって いた。 2 ホン の アシ を かたく そろえて、 ドウ と チョクセン に のばして いた。 ジブン は カゴ の ワキ に たって、 じっと ブンチョウ を みまもった。 くろい メ を ねぶって いる。 マブタ の イロ は うすあおく かわった。
 エツボ には アワ の カラ ばかり たまって いる。 ついばむ べき は ヒトツブ も ない。 ミズイレ は ソコ の ひかる ほど かれて いる。 ニシ へ まわった ヒ が ガラスド を もれて ナナメ に カゴ に おちかかる。 ダイ に ぬった ウルシ は、 ミエキチ の いった ごとく、 いつのまにか クロミ が ぬけて、 シュ の イロ が でて きた。
 ジブン は フユ の ヒ に いろづいた シュ の ダイ を ながめた。 カラ に なった エツボ を ながめた。 むなしく ハシ を わたして いる 2 ホン の トマリギ を ながめた。 そうして その シタ に よこたわる かたい ブンチョウ を ながめた。
 ジブン は こごんで リョウテ に トリカゴ を かかえた。 そうして、 ショサイ へ もって はいった。 10 ジョウ の マンナカ へ トリカゴ を おろして、 その マエ へ かしこまって、 カゴ の ト を ひらいて、 おおきな テ を いれて、 ブンチョウ を にぎって みた。 やわらかい ハネ は ひえきって いる。
 コブシ を カゴ から ひきだして、 にぎった テ を あける と、 ブンチョウ は しずか に テノヒラ の ウエ に ある。 ジブン は テ を あけた まま、 しばらく しんだ トリ を みつめて いた。 それから、 そっと ザブトン の ウエ に おろした。 そうして、 はげしく テ を ならした。
 16 に なる コオンナ が、 はい と いって シキイギワ に テ を つかえる。 ジブン は いきなり フトン の ウエ に ある ブンチョウ を にぎって、 コオンナ の マエ へ ほうりだした。 コオンナ は うつむいて タタミ を ながめた まま だまって いる。 ジブン は、 エ を やらない から、 とうとう しんで しまった と いいながら、 ゲジョ の カオ を にらめつけた。 ゲジョ は それでも だまって いる。
 ジブン は ツクエ の ほう へ むきなおった。 そうして ミエキチ へ ハガキ を かいた。 「ウチ の モノ が エ を やらない もの だ から、 ブンチョウ は とうとう しんで しまった。 たのみ も せぬ もの を カゴ へ いれて、 しかも エ を やる ギム さえ つくさない の は ザンコク の イタリ だ」 と いう モンク で あった。
 ジブン は、 これ を だして こい、 そうして その トリ を そっち へ もって ゆけ と ゲジョ に いった。 ゲジョ は、 どこ へ もって まいります か と ききかえした。 どこ へ でも カッテ に もって ゆけ と どなりつけたら、 おどろいて ダイドコロ の ほう へ もって いった。
 しばらく する と ウラニワ で、 コドモ が ブンチョウ を うめる ん だ うめる ん だ と さわいで いる。 ニワソウジ に たのんだ ウエキヤ が、 オジョウサン、 ここいら が いい でしょう と いって いる。 ジブン は すすまぬ ながら、 ショサイ で ペン を うごかして いた。
 ヨクジツ は なんだか アタマ が おもい ので、 10 ジ-ゴロ に なって ようやく おきた。 カオ を あらいながら ウラニワ を みる と、 キノウ ウエキヤ の コエ の した アタリ に、 ちいさい コウサツ が、 あおい トクサ の ヒトカブ と ならんで たって いる。 タカサ は トクサ より も ずっと ひくい。 ニワゲタ を はいて、 ヒカゲ の シモ を ふみくだいて、 ちかづいて みる と、 コウサツ の オモテ には、 この ドテ のぼる べからず と あった。 フデコ の シュセキ で ある。
 ゴゴ ミエキチ から ヘンジ が きた。 ブンチョウ は かわいそう な こと を いたしました と ある ばかり で ウチ の モノ が わるい とも ザンコク だ とも いっこう かいて なかった。

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